どうも、ししゃもです
免疫抑制剤、中でもステロイドを服用中の時は公衆浴場やプールに行かないように注意されます
この注意だけだと「人がたくさん入るからダメなのかな」ぐらいしか分かりません
なぜ、公衆浴場やプールにはいるのがダメなのか
また、どうしても温泉につかりたいけど本当にダメなのか
この辺りをちょっと調査してまいりました
免疫抑制中も温泉につかれる?
先に、温泉につかれるかどうかですが、実はつかれます
ただし、つかれる温泉に条件があります
まず、入ってOKな温泉は「源泉かけ流しの温泉」です
次に、入っちゃダメな温泉は「循環式の温泉」です
なぜ、同じ温泉でも入っていいものとダメなものがあるのか、温泉の仕組みと菌のお話を交えながらご説明致します
源泉かけ流しと循環式とレジオネラ菌
温泉のタイプは大きくわけて2つ
「源泉かけ流し」と「循環式」になります
かけ流し温泉は、常に新しいお湯を給油して利用している温泉です
一度使われたお湯は、循環利用されることなく排出されます
対して、循環式温泉とはお湯を常に循環、ろ過、加温してリサイクル使用する温泉です
日本国内の多くの温泉は後者の循環式温泉になります
レジオネラ菌とレジオネラ症
私たちの身の回りには、いろいろなところに多種多様な微生物がひっそりと生きており、それらは環境常在菌とよばれています
レジオネラ菌もこの環境常在菌の一つです
本来の自然な環境であればなんら問題を起こすことがない細菌ですが、人工的な環境を作ることにより、そこが環境常在菌にとって格好のすみかになることがあります
これにより大繁殖した細菌が人体に悪影響をおよぼすことがあります
レジオネラが引き起こす病気「レジオネラ症」もその一つです
以下レジオネラ症が発見された経緯です
レジオネラ症(legionellosis)は、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)を代表とするレジオネラ属菌による細菌感染症です。主な病型として、重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎(在郷軍人病)」と、一過性で自然に改善する「ポンティアック熱」が知られています。レジオネラ肺炎は、1976年、米国フィラデルフィアにおける在郷軍人集会(Legion)で集団肺炎として発見されたところから、legionnaires’ diseaseと命名されました。これに対して、ポンティアック熱は、1968年に起こった米国ミシガン州ポンティアック(Pontiac)における集団感染事例にちなんで命名されました。
引用:厚生労働省感染症情報レジオネラ症より

レジオネラ症が最初に発見されたのはアメリカだけど、日本でもレジオネラ菌による集団感染事件があったんだ
それがこちらです
- 宮崎県日向市の新設温泉施設での集団感染
日向氏のサンパーク温泉で1992年6月20日から7月23日までの入浴者1万9773人のうち295人がレジオネラ症を発症。7人が死亡した。浴槽水中に遊離塩素が検出されないなど衛生管理が不適切で、オープン後間もない施設にも関わらず、浴槽水をはじめ、ろ過装置のろ材、配管のあらゆる場所からレジオネラ菌が高濃度で検出された。
レジオネラ症の発症頻度は空調冷却塔と浴槽などの給湯系がもっとも多く、土壌細菌であることから土埃や園芸用の培養土からの感染も報告されています
肺炎は重症に
レジオネラに感染して発症する病気にはレジオネラ肺炎とポンティアック熱があります
以下がそれぞれの特徴です
- レジオネラ肺炎
レジオネラ肺炎は、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られるようになります。まれですが、心筋炎などの肺以外の症状が起こることもあります。また、意識レベルの低下、幻覚、手足が震えるなどの中枢神経系の症状や、下痢がみられるのもレジオネラ肺炎の特徴とされています。軽症例もあるものの、適切な治療がなされなかった場合には急速に症状が進行することがあり、命にかかわることもあります。
引用:厚生労働省感染症情報レジオネラ症より
- ポンティアック熱
ポンティアック熱は、突然の発熱、悪寒、筋肉痛などの症状がみられますが、またそれらは一過性のもので、自然に治癒します
引用:厚生労働省感染症情報レジオネラ症より

ステロイド服用中の患者に公衆浴場の利用をしないよう注意するのは、こういった感染症のおそれがあるからなのだ
温泉施設に行く前に主治医に相談
本記事では源泉かけ流し温泉がOKで循環式がNGと述べました
この記事を書こうと思ったのは、同じSLEの人に温泉に行きたくて主治医に聞いたら「循環式はダメだけど天然ならOKと言われた」という話がきっかけです
免疫抑制をしているからもう二度と温泉には入れない、そんなことは決してありません
温泉をあきらめていた人、あきらめきれない人は行ってもいいか一度主治医に相談してみてください
とはいえ、ステロイド(プレドニン等)の量が一桁くらいになってから行った方がある程度は安全なので、服用量が多いのにごねるのは主治医が不憫なのでやめてあげましょう

15mg以上だと症状や経過にもよるけどダメって言われる可能性が高いので参考にしてね
本記事で解説したレジオネラ症については引用にもリンクを付けました、厚生労働省の感染症情報が分かりやすくまとめてあります
もっと詳しく知って、感染症のリスクをなくしたい、予防したいという方はぜひ一度お立ち寄りください
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